丹羽文雄の自叙伝とも言うべき『佛にひかれて わが心の形成史』を一気に読んだ。
最近は電子書籍ばかりを読んでいたので、紙の本を一気にというのは珍しい。
それくらい面白かったと云うところである。
面白いと云うより興味を引いたという方が正しいであろうが。
波瀾万丈と言うべき実母の人生と、或る意味で放蕩の限りを尽くしたとも言うべき父親について、そしてその2人の人生を狂わせる原因と成った祖母(母方)の存在、それらに関して露悪的とも評されるが如き書きぶりである。
然し読み終えてみれば、実に慈愛に満ちた、両親の生き方に対する理解と成っている。
そして其れは、丹羽文雄が浄土真宗のお寺に生まれ育ったこと、還俗するものの後年親鸞の思想を深く吟味したことと深く関係している。
ここまで苦しみもがき、そして人間を吟味しなければ、悪人正機説のなんたるかを真に理解することは出来ないのだ!と言わんばかりである。
子供の頃母の書棚に丹羽文雄の小説が数冊有ったのを記憶している。
久しぶりに出会った姉に確認したら、姉の記憶でも母の書棚に丹羽文雄の小説が少なくなかったと記憶していた。
母は丹羽文雄の小説に何を読んでいたのか?今となっては知る由も無い。
そろそろ私も古稀を迎える。
丹羽文雄宜しくどろどろの自叙伝でも書き残そうか?と思わなくも無いが、まだ今の私には、自分の所行の全てをしかるべく分析する力は無い。
まぁもう少し長生きしてみての話である(^^ゞ